第1章 出会い
家に着くと、私は彼に構わずすぐにお風呂に向かった。
やっとすっきりできた…そう思って部屋に戻ると、三白眼のその人は窓辺でくつろいで本を読んでいた。
もうとっくに帰ったと思ってたのに。
私が戻ってきたことに気づくとパタンと本を閉じて
「じゃ、手当しますか」
そういってケガの手当を手伝ってくれた。
「あの…ありがとうございます。えーと…その…」
「あー俺?はたけかかしっていうんだけどね」
「かかしさん。私は、マユと言います。改めてありがとうございます。」
「じゃ、マユ。俺はこれで行くから。次は服着て泳ぐのやめなよ」
にっこり笑ってそのままかかしさんは去っていった。
あんまり私は人に関わらないようにしてるから、なんだか少し緊張した。
触れられた手なんかおっきくて暖かかったな。
一人に慣れてるから、こーいうことがあると、どうしても寂しさを感じてしまう。
だから、よけい人に関わりたくないのに。
彼が去っていったドアをいつまでも見つめていた。