第1章 出会い
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気が付いたら、目に映るのは晴れ渡る青空。
それとは裏腹に鉄の匂いがツンと鼻をつく。
持ち上げた自分の汚れた手を見て重くため息をついた。
「またか…」
あぁ、はやく体きれいにしたい…
だるい体をゆっくりと起こす。
あたりを見渡してみると、10人ほどの体がそこら中に横たわっていた。
だからって特に何も思うことはない。
それらを背にゆっくりと歩きだして家に向かう。
家に着く前に、自分のからだ中の血の臭いに耐えきれず、近場にあった川にそのままザブンと飛び込んだ。
少し深めの場所もあったが、泳ぐのは好きだ。
好きなように川の深みまで泳いで浮かんでいる。
水の音と冷たさに 気分もましになってきた。
服で若干身動きとりにくいが、溺れることはない。
と、その時、サバっと無理やり体が引き上げられた。
「!?」
あまりに思いがけないことに声もでなかった。
水浸しの私をのぞき込んで、その人はいった。
「おい、大丈夫か?」
その人は右目の三白眼を見開いて私を見ながらいった。
「あ、はい。その…泳いでいたんですが…」
「え?溺れて浮いてたわけじゃないの?」
「一応…泳いでいたというか…すみません、驚かせて…」
そりゃ服着たまま、川の深みに浮いてたら普通そう思うか。
この人、見た目どこかの忍びだな…
変に探られると面倒だと思ったけど、とりあえず体の血が流れて綺麗になっていたことには感謝した。
「ケガしてるし、送るよ」
そう言ってくれたけど、あんまり関わらないほうが…
「でも…あの…」
「いいから」
そういうと無理やり抱えられた。
「家、どこ?」
「服濡れちゃいますよ。おろしてください」
「いいから」
私の意見はどうやらすべて却下のようだ…
しぶしぶ家を案内した。