第4章 約束の日
かかしサイド
今日は予定どおりマユを迎えにいく。
荷物も多少あるだろうが、この巻物に入れてしまえば問題なく運べる。
きっと楽しみにしているんだろうな…
そう思うと自分も自然と笑顔になれる。
と、血の臭いに気づいた。
まさか…
とは思ったが、自分が向かうほうからどんどんと臭いが濃くなっていく。
俺は更にスピードを上げて向かった。
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到着するとマユの家は跡形もなく破壊され、そこに本当に家があったのか?と言いたくなるほどの状態だった。
驚いたのは、周りにゴロゴロと落ちているミイラのような白い塊たち。
よく見ると、ミイラではない、これは虫が作る繭だとわかった。だがそれは人の形をしている。
マユが襲われたのはあきらかだった。
彼女一人に対してこの人数とは…
俺は必死で辺りを探した。
「マユ!」
駆け寄るとそこには綺麗な銀髪も白い肌も、澄んだ瞳の面影すらない無惨な姿があらわになった。
ぼろぼろになった彼女はなんとか生きており、俺に揺さぶられなんとか意識をとりもどす。
「か‥かし…わた…し…油断…して…」
「大丈夫、もう大丈夫だから。しゃべらなくていい」
「わたし…どうぐ…じゃないよ‥」
「あぁわかってるよ」
「かかし…かえり…たい…」
「あぁ‥俺がちゃんとお前の帰る場所に連れてかえるから。もう黙って」
そういうと安心したのか涙を流していた眼が閉じられた。
マユの言葉を聞いて胸が張り裂けそうになった。
だが俺の感情は後回しだ。
とにかく急がないと。