第4章 約束の日
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「思ってたよりあっけなかったな。」
「あれだけやばい奴っていう噂でしたからね。これだけの人数を用意したのに。歯ごたえなかったですね、隊長」
頭の上から降ってくる聞きなれない声に、途絶えかけた意識がまた戻る。
私は地面に横たわり髪の毛をつかまれていた。
体中に滲む己の血と痛み。
耳に残る薄汚い笑い声。
所詮私は彼らにとって単なる物でしかない。
ふざけるな…あと少しで自分が手に入れたいものがはいるのに。
かかしが迎えにくるのに。
ここで連れていかれたらもう二度と会えない気がした。
いやだ…私は道具なんかじゃない…
私のフツフツと燃やされる殺気を感じ取った、近くにいる数人の忍び達の形相が一瞬で変わった。
「この殺気‥!」
途絶えそうな意識の中で最後の気力を振り絞って印を結んだ。
「糸遁…絹糸腺…繭玉(しとん・けんしせん・まゆだま)…」
「「「!!!!」」」
上空から雨のような液体がいっきに強く降りそそいだ。
その液体が体に触れるころには強靭な糸へと変化しており、そこにいたすべての忍びは、断末魔とともに一気に繭玉にされてしまった。
ゴロゴロと人間繭玉が30個もできあがったと同時に私は気をうしなった。