第3章 任務・再会
言われたとおり、彼の前にテーブルをはさんで座る。
「マユさ、血継限界、糸遁の持ち主だよね?」
ドキッとした。かかしには戦闘姿を見られた記憶はない。
血筋のことも、一族のことも話してない。
いや、聞かれもしなかった。でも彼は知ってる。
やっぱり、結局ほしいのは私の力…?
心が徐々に暗くなる気がした。
「血継限界の人達が、周りからどのような扱いをうけてきたのかは知ってるよ。俺も昔、別の血継限界の氷遁使いの子に会ったこともあるからね。」
あまり過去は話さないようにしていたけど、かかしは私よりも年上なのは明らかだったから、そういうのも知ってて当然か…とも思えた。
「今回糸遁使いの話を火影様から聞いたときに、任務を言い渡されたんだよ。
糸遁の生き残りは、過去に悪事を働いたなどということは一切聞いたことがない。木の葉の里は、その者が里に危険を及ぼすものでない場合、拘束することも、その力を利用することにも興味はもたない。
ただ、その者が誰かを、帰る場所を必要としているのなら木の葉の里に居場所を与えることを許可する。
本人の意志を確認せよ。これが俺の任務内容ってわけ」
「へ?」
緊張の糸がパチンと切れた。
その任務内容にきょとんとしている私をみて、かかしは続けて言った。
「俺は唯一、マユと会ったことがあってたまたま家も知ってたから俺がマユの意志を確認するために選ばれたってわけ。でもこーいうのって一応デリケートな話でもあるし、まず俺の事も信用してもらわなきゃならないでしょ?だから少し時間をかけたんだよ。」
へなへなと力が抜けた。
「マユはどうしたい?今すぐ答えを出せとはいわないよ。また次会いに来るときでもいいし」
答えなんか決まっていた。
「ううん、答えはでてる。木の葉に行きたい。ちゃんと自分の帰る場所と、仲間も…恋人だってほしい。みんなが持ってるものを私も欲しい!」
私の早い決断にかかしは少し驚きながらも
「じゃ決まりだね。帰る場所も、仲間もすぐできるよ。まー…恋人は…う~んマユならすぐできるか…」
と言い最後はブツブツと小声になっていき聞き取れなかった。
「火影様に今日報告するし、こっちの準備が整ったら移動になるからもう少し我慢ね」
「うん!かかし、ほんとにありがとう。私、なんか夢見てるみたいだよ」
そういって笑うと、かかしも微笑んでくれた。
