第3章 任務・再会
「マユ、ちょっと待って…」
突然かかしの雰囲気が変わって、鋭い目つきで窓の外を見る。
しまった、私としたことが警戒心を完全にといて油断していた。
同じく自分も周りの気配をさぐる。
いくつかの気配を感じたが、しばらくすると家には近寄ることもなく通り過ぎて行った。
はぁ…と息をついた。
と、頭にポンと暖かい彼の手がふってきた。
あまりに突然の出来事で、体がビクっと反応した。
「大丈夫だよ」
いつぶりだろうか、こんな風に人に優しくしてもらったのは。
見上げたかかしの姿がゆらゆらとゆがみだした。
かといって、弱い自分を見せるわけにもいかない。
ぐっと落ちそうな涙をこらえて目をそらした。
その後、かかしはまた来るねと約束して帰っていった。
また来るってことは次があるんだ…となんだか心が暖かくなった。