第3章 雨宿り
まさかこんなにどしゃ降りになるとは。。。
私は城に帰る道中の小屋の軒先で雨宿りしながら、ため息をついていた。
今日は街の本屋に珍しい本が入る日だったので、サリエルさんに頼んで朝から自由な時間をもらっていたのだった。
本は手に入れたけど、濡れないように上着でぐるぐる巻きに巻いているので、自分の身体の方が冷えてきてしまった。
雨はザァザァとすごい勢いで降っていて、当分止みそうにない。
小屋の中で雨が止むまで待とうと扉に手をかけた瞬間
「ロロ?お前なんでここにいるんだ?」
よく知ってる声に声をかけられた。
「じ、ジンさん!」
よぉ、と面白いものを見つけたような顔をするジンさんがいつのまにか背後に立っていた。
「えっ、どうしてここに」
しどろもどろなりながら、後ずさる私。
「今日は俺が街の見回りする日なんだよ」
ジンさんはフードをかぶっていて、私と変わらずびしょ濡れになっていた。
「帰ろうとしたらこの雨だ。警備小屋寄って待とうかと思ってたらロロに会えるんだからな。恵の雨だなこりゃ」
何故か、愉快そうに笑う。
「あ、ここ、警備さんの小屋だったんですね。私、間違えちゃって、先に帰りますね!」
私は慌てて逃げ出そうとする。すっごく嫌な予感がする。
「おいおいまだ雨やまねーぞこれ。」
ガシッと肩を掴まれる。
「お前、その大事なもん、濡れていいのか?」
「うっ。。」
上着でぐるぐる巻きに巻いてる本が、たしかにこのままでは濡れてしまうかもしれない。
「大丈夫だ、どうせ中には警備の奴もいるから、いくら俺でも流石にお前を襲わねーよ」
「あ、当たり前です!昼間から何言ってるんですかっ」
「夜なら言ってもいいんだな?」
「違いますってば!」
まぁまぁと肩を掴まれ、私はジンさんと共に警備小屋へ入ることになってしまった。
「ジン様、お疲れ様です!」
警備小屋に入ると、男の人達が3人ほど、部屋の中にいた。
いずれも精悍な顔つきをした、若い男の人たちで、雨の湿気もあってかムワっとする匂いがたちこめていた。
「おや、、その方は?」
ジンさんの傍に立っている私を訝しげに見てくる。そうだ、私はベルだけどその存在は公には知られていないんだった。
「あぁ、うちの新しいメイドだ」
「あっ、、はい、ロロと申します。よろしくお願いします」
私はペコリと頭を下げた。