第12章 甘い休日
口布をつけず無防備に晒されている先輩の顔はすごくきれいで、未だに見慣れない。
手を伸ばして指先でそっと先輩の顔に触れる。
いつもは戦う時以外、今みたいに閉じている写輪眼の左目。
昨日の夜、ひとつになったときには無意識にか開かれていて、暗闇の中で光る赤い目に、心の中まで見透かされそうですごくドキドキした。
そんなことを考えながら指をその左目の傷痕にすべらせると、ピクっとカカシ先輩が反応して慌てて手を離す。
「すみません。痛かったですか?」
するとカカシ先輩が笑ってわたしの手を追いかけ指を絡めて握る。
「ううん、くすぐったかっただけ。
さっきからなに?そんなに真剣に見つめられたら、照れるんだけど」
冗談めかして言う先輩に、恥ずかしくて見惚れていたとは言えず「なんでもないです」と誤魔化すように笑う。
すると先輩は「なによ」と言いながらも、わたしの額に唇をつけて身を寄せると目を瞑る。
うう……、可愛い。
今まで先輩が抱いてきた女の人たちも、こんなカカシ先輩を見てきたのかな……。
そう思うとかすかに胸がチクリと痛んだ。
前に嫌がらせをしてきた女の人も、きっと本当にカカシ先輩のことが好きだったんだろうな……。
「あの、先輩。
もう、これからはすごく綺麗な人が現れても、絶対抱いたりしないでくださいね!
こんな先輩知ったら、みんな先輩のこと大好きになっちゃいますから」
不安にかられて必死で先輩を見上げると、先輩がちょっとビックリした顔をして、でもすぐにいつもの意地悪な笑みを浮かべる。
「サクはオレに抱かれてオレのこと大好きになっちゃったの?」
そう言われて結構な恥ずかしいことを言ってしまったことに気づき顔が熱くなる。
「っっ、あたしのことじゃなくてっ!!
えっと……」
しどろもどろになってしまったわたしを楽しそうに眺めながら、先輩が繋いでいた手を口元に持っていきわたしの指を優しく喰む。
ゾクリとする感覚に身体が震える。
「前にも言ったでしょ。
オレはサクにゾッコンだって。
サク以外の女の子に興味ないし、抱きたいのもサクだけ」
真っ直ぐな言葉に、瞳に鼓動が速くなる。
コツリとおでこが合わさり背中に温かい手が回り抱き寄せられる。