第12章 甘い休日
カーテンから漏れる光が眩しくてわたしはうっすらと目を開ける。
目を数回瞬かせ寝返りを打つと、目の前に先輩のきれいな顔があり、わたしは思わず声が出そうになり両手で口を押さえた。
そ、そっか。
あたし、昨日先輩と……。
下腹部に残る微かな違和感に、昨夜のことを思い出し顔が一気に火照る。
先輩が寝ててよかった。
起きてたらこの心臓の音を聞かれてしまいそうだ。
もう一度先輩を見ようと顔を上げると、先輩の目がいつの間にか開いていてパチリと目が合う。
「わっ!!」
ビックリして今度こそ声が出てしまったわたしの顔を、先輩の手が優しく撫でる。
「朝からなに百面相してんの?」
寝起きの掠れた声で前髪をかき上げながら先輩が意地悪く笑う。
い……、色っぽい……。
「なんでもない、です……」
目のやり場に困って目を逸らしながらなんとか答えると、
「ふぅん」
と、先輩の手がわたしの頬を包み、優しいキスが降ってくる。
「ん……」
甘い雰囲気に、恥ずかしいやら、幸せやらで思わず先輩の胸に顔を埋める。
そんな私の頭を先輩の大きな手が優しく撫でて、頭にも口付けが降ってくる。
「サク、おはよ」
「おはようございます」
先輩の手がわたしを包んで、ぎゅっと抱きしめられる。
「体、きつくない?」
温かい手で腰をそっと撫でられて、ドキリとする。
「ぜんぜん、大丈夫です」
「よかった……」
すり、と先輩が目を閉じて顔を擦り寄せる。
白銀の髪が顔にかかり、くすぐったい。
わたしより全然体も大きいのに、こうやって甘えてくるのはちょっと可愛いな。
よしよし、と先輩の頭をなでると、「ふふ、気持ちい」と先輩が小さく笑った。
しばらく2人で抱き合っていたけど、空はだいぶ明るい。
そろそろ朝ごはんにしますか?と布団を抜けだそうとすると、逃がさないとばかりにぎゅっと抱き寄せられる。
「もうちょっと、こうしてたい……」
いつもは隊長としてみんなをまとめ上げる頼り甲斐がある先輩の、恋人に見せる顔は少し意地悪で、でも甘くて、すごく可愛い。
そのギャップにまんまとやられっぱなしのわたしは、大人しく先輩のたくましい腕の中に収まった。