第12章 甘い休日
「サクが信じられるまで、何回だって言うから……」
唇がつくかつかないかの距離で囁かれたセリフ。
嬉しくて頬が緩んでしまう。
コクリと頷くと、先輩が目を閉じて優しくキスをしてくれる。
「んっ……」
「……すき」
少し離れた唇。
囁く低く、甘い声に応えようとした唇をまた塞がれる。
「んっ……、ふ……っ」
どれくらい口付けていただろう。
苦しくて先輩の胸を少し押すと、やっと解放される。
ぎゅっと力強く抱きしめられて、幸せすぎて胸がいっぱいになる。
わたしも手を伸ばして目一杯先輩を抱きしめると「先輩、大好き」とありったけの思いをぶつけた。
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「……すっかりお昼になっちゃったね。」
「はい……」
あのあとも抱き合ってまどろみながら狭いベッドの中でゴロゴロすごしていたら、ベッドから抜け出すころには太陽は高く上り、部屋にはカーテン越しに眩しいほどの陽光が降り注いでいた。
一緒にお風呂に入ろうという先輩の誘いを丁重に断って(恥ずかしすぎる!!)、交代でシャワーを浴びて、家にあった焼きそばで簡単にご飯を済ませる。
「なんか、贅沢ですね」
食後にコーヒーを飲みながらポツリとこぼすと先輩が顔を上げる。
「なにが?」
「こうやって、丸一日ゆっくり一緒に過ごせるのが、です。
なかなかないじゃないですか。
いつもはどっちかが任務だったり、呼び出されたりするから」
「確かにね」
隣に座っていた先輩がわたしを抱き寄せる。
温かい体温にホッとして先輩の胸に頬を寄せ目を閉じる。
「わたし、今すっごく幸せです」
ぎゅっと先輩の抱き締める力が少し強くなる。
顔を上げると先輩が目を細めて笑ってくれる。
「ん、オレも」
ああ。わたしの大好きな先輩の笑顔だ。
愛おしさが募って、わたしは先輩の首に手を回して全体重をかけてのしかかる。
急なことに先輩がバランスを崩して後ろに倒れる。
「ちょ、あぶないでしょ!!」
とっさに持っていたコーヒーカップをテーブルに置き、怒りながらも先輩がわたしの背に手を回してくれる。
「先輩、大好きです……」
ぎゅうっと首にしがみついたまま口付けて、想いを伝える。
「ずっと一緒にいてくださいね」