第11章 理由
ビックリして体を離すと、サクが照れ臭そうに笑う。
「先輩が、わたしのこと抱きたいって思ってくれてて良かったです。
わたしに色気がないからキスしたり、抱きしめたりしてくれないんだと思ってたから……」
「っ!そんなわけないでしょ!
キスの後の蕩けた顔とか、笑顔も、その小さな体も、いつもすごい煽られてるから。
オレがいつもどんだけ我慢してると思ってんの!」
ついムキになって恥ずかしいことを言ってしまう。
まぁ、いいか。
サクがこんなに幸せそうに笑ってくれるなら。
照れながら笑うサクの顔を見て、オレも自然と微笑む。
「あと、みんなに付き合ってたこと言わなかったのは、班が離れるのが嫌だっただけだから。
上層部にバレたら、絶対離されるでしょ」
恥ずかしいついでに言ってしまう。
それでサクの不安が解消されるなら、安いものだ。
「つまり、オレはサクにベタ惚れってこと。
わかった?」
コツン、とおでこを合わせると、一瞬ビックリした顔になったサクが涙の残る目を細めて笑い「わたしも、大好きです!」とオレに抱きつきてくる。
オレもしっかりと抱きしめ返し、サクを腕の中に閉じ込めた。
久しぶりに触れるサクの匂いや温もりが嬉しくて、でもほっとして、その肩口に顔を埋める。
もっと触れたくて、口布をずらし、その柔らかな髪に、丸い耳たぶに、頬に口付けていく。
まだ、足りない…。
もっと、サクに触れたい。欲しい。
ムクムクと膨れ上がる欲望に、体が奥がジンと熱くなる。
少し顔を離してサクを見つめ、今度は唇を合わせる。
何度も何度も、啄むようにキスをする。
薄目を開けてサクを見ると、金色のまつ毛を伏せて、頬を染めている。
可愛い……
口づけを深くし、オレの背中に回っていたサクの手を取って指を絡めると、体重をかけてサクをベンチに押し倒す。
サクは慌てて目を開けると、首を振ってキスから逃げる。
「せっ先輩!ここ、外!!」
グイグイ押し返そうとしてくるサクのもう一つの手を取ると、強引にもう一度口付ける。
「んっむぅ!」
サクの反論はキスに溶けて、オレには届かない。