第11章 理由
「サク、順番に話すから、聞いてくれる?」
泣きはらした目で、サクがオレを見上げてコクリと頷く。
サクを抱きしめていた腕を離し、サクの手を取って近くのベンチに2人で座る。
「まず、さっきの人を昔抱いたのはホント……」
サクが少し俯き「じゃあなんで前に鉢合わせたときに、教えてくれなかったんですか……?」と小さな声で言う。
「好きな子に、あの女は前に抱いた女、なんて言うわけないでしょ」
「あ……」
腑に落ちたような顔をしたサクに笑いかけ、頭をクシャリと撫でてから続ける。
「それも昔の話だったから。
まさか、サクに何かしてくるなんて思わなくて……、
嫌な思いさせて、ごめんな」
フルフルとサクが頭を振る。
「今はあの人のことは、すきじゃないですか?」
不安そうに聞くサクが可愛くて、肩を抱き寄せる。
「オレが好きになったのは、後にも先にもサクだけだよ。
サクのこと気になりだしてからは、誰も抱いてない。
サクのことは、夢で何回も抱いてるけど……」
最後の一言に、サクがボッと音がしそうなほど真っ赤になる。
「それと、キスとか抱きしめるのが減ったのは、サクとしたいの我慢できなくなってきたから……」
「え……?」
サクの顔が、さらに赤くなる。
だからいちいち反応、可愛すぎんでしょ。
「でも、サクがそういう経験ないの、キスしたときの感じとかからわかってたから大切にしたかった。
無理矢理して嫌われたくなかったし……」
「あの、わたし……。
先輩になら、なにされても、嫌じゃないですから」
サクが恥ずかしそうに、オレの服の裾を掴む。
「だから……、キスとか、ハグとか、いっぱいして欲しいです……」
最後の方は尻すぼみになってしまった声、真っ赤な顔、でも、真剣に目を見て話すサクに、我慢できずぐっと強く抱きしめる。
「次そんな可愛いこと言ったら、オレ、もうホントに我慢できないから……」
覚悟、できてんの?とサクの耳元で囁くと、サクもぎゅうっとオレに抱きついてくる。
そして、オレがしたようにオレの耳元に囁く。
「先輩なら、いい、です……」