第11章 理由
1週間前、ちょうど今日と同じような夕暮れ時。
先輩とふたり、ここに来た。
たわいないことをしゃべって、ふと沈黙が訪れる。
先輩の手がわたしに触れようとして、躊躇うように止まり下へと落ちる。
そして誤魔化すように笑うと、そろそろ行かなきゃ、と立ち上がってしまう。
いつもなら、抱き寄せて、キスをして、愛おしそうに笑ってくれるのに……。
「だーっ!!!」
クッションからガバリと顔を上げる。
こんなモンモンと思い悩むとか、わたしの性に合わない!!
直接先輩に聞くしかないよね。
でも当の先輩は2週間ほどの長期任務。
あと1週間は帰ってこない。
「はぁああ」
再びクッションに突っ伏して、わたしは長ーいため息をついた。