第11章 理由
真っ赤になったわたしを笑う2人をあとに、フラフラと立ち上がり出口へ向かう。
「聞かせてくれて、ありがと。
じゃ、また明日……」
肩を落として出て行くサクを2人は無言で見送る。
「さっきの話って、もしかしてサクの話?
言いすぎたか……?」
「まぁ、嘘は言ってないしね。
てか、あの子が恋??
いったい誰と??」
「……さあ。知らねー。
でも、アイツもついに目覚めたかぁ」
「ね、カカシ先輩ばっか追いかけてたサクがねー……」
そこで2人は顔を見合わせる。
「え、もしかして相手って、カカシ先輩?」
「……」
「……」
「いやいやいやまさかぁ。
サクにはレベル高すぎんだろ。
隊長っていつも違う女とっかえひっかえって話だぜ。
しかもキレーな人ばっか。
特定の彼女いるって話も、聞いたことないし……」
「……でも、だからこそスレてない純粋なサクに惹かれて、でもいつもみたいに手を出せずにいたりして……」
「……」
「……」
「まさか、ね……」
2人の勘の良い忍の思惑など知らずに、気を落としたサクは1人家に帰る気にもなれず、あの秘密基地に向かっていた。
秘密基地につくころには日が傾いて、ツリーハウスの中はオレンジ色に染まっていた。
サクは先輩が買ってきてくれた大きな深緑色のビーズクッションにバフンと倒れ込み、近くにあった毛布を頭から被った。
先輩と付き合いだして3ヶ月あまり。
付き合い出した頃は、それこそ目が合うたびに抱きしめてキスしてくれてたのに、最近ではチョン、と軽くキスするくらいでハグさえも短い……。
わたし、何かダメなことしちゃったのかな……。
それともタツマやミチが言うみたいに、もう飽きられちゃったのかな……。
「色気がない」
前にハナに、今日はミチにも言われた言葉が胸をえぐる。
確かに、18になってもわたしの体はハナやミチみたいに豊満ではない。
胸だって、小さいし……。
でも先輩はそんなことで嫌いになったりしない。
ううん。嫌いになったりしないって、思いたいだけかも……。
みんなに内緒にしてるのだって、わたしとじゃ、付き合ってるのが恥ずかしいからなのかも……。
一人考えていると、悪いことばかり頭に浮かんでくる。