第11章 理由
「むーーーーー……。」
「おい、サク。何むくれてんだよ」
明日の任務の打ち合わせの為に集まった部屋。
打ち合わせが終わり、椅子の上で三角座りでしかめっ面をしているわたしを見て、同じろ班のタツマが怪訝な顔で聞いてくる。
「……なんかサク、最近誰かから嫌がらせ受けてんの。
ロッカーに落書きされたり、靴にまきびし入れられてたり……」
隣に座っていた同じくろ班の女の子、ミチがわたしの頭をわしゃわしゃと撫でる。
2人は歳が近いこともあり、任務などで集まればいつもこうしてたわいのない話をする気の置けない仲間だ。
「げ、マジか……。
てか、なんだその学生ノリな嫌がらせ」
「でしょ!
信じられないでしょ。
しかもサクが恨まれるなんてこと、ある?
こんな、アホで色気もない無害な子!!」
「ちょ、それ、フォローしてるようで、ほぼ悪口じゃん」
ジト、とミチを睨みつけるけど、サラリとかわされる。
「ま、反応しないこったな。
そしたら相手もそのうち飽きんだろ」
苦笑しながらタツマがわたしの肩をポンと叩き、慰めてくれる。
なぜか最近地味な嫌がらせにあっている。
原因は全く分からないし、実害がないとは言えないから少し気になってはいるが、わたしが本当に悩んでいるのはそれじゃない。
恋愛経験豊富そうな、2人に聞いてみようかな…。
少し迷ってから、口を開く。
「あの、さ。
恋人が自分にあまり触れてこなくなるのって、なんでだと思う?
あ、これはその、お、女友達の話なんだけどさ……」
一応先輩と付き合っていることは秘密にしているから、友達の話ということにしておく。
「んー、飽きたから?」
「異性として見れなくなったから?」
2人の言葉に、グサっと見えない刃が胸に突き刺さる。
「そ、そうなのかな、やっぱり……」
「その友達は同い年ぐらいなんだろ?
やっぱそんくらいの男子ってやりたい盛りじゃん?
それを触らずにいるって、やっぱそうなんじゃね?」
「やややや、やりたい盛り!?」
「まぁ、そうでしょ。
18、9の男の頭ん中なんて、女とやりてーでいっぱいでしょ」
「そ、そうなの!?」
予想を超える回答に、耳まで真っ赤になってしまう。
「うわ、真っ赤」