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星降る丘【NARUTO】

第9章 2度目のファーストキス


一気に公園を駆け抜け急いで先輩のもとへ戻る。

「先輩!
すみません。
お待たせしてしまって……」

「ん。大丈夫。
お帰り」

先輩は微笑むと、わたしの左手を取りさっきと同じように指を絡ませて繋いだ。

「ちゃんと、話せた?」

「はい。
ちゃんと、わたしの気持ちを伝えられたと思います。
キスしようとしたお返しに、思い切り叩いちゃいましたけど……」

「うわー……」

「だって…、ファーストキスはやっぱ好きな人としたいじゃないですか……」

言っていてだんだん恥ずかしくなってきて口を噤む。
なんか、キスねだってるみたいになっちゃったかな……。

「大丈夫だよ。
サクのファーストキスは、オレだから」

「へ……?」

予想外の返答に、わたしは口をポカンと開けて先輩のことを見上げた。

「サクが風邪ひいたときあったでしょ。
そんとき、熱が高くて薬をうまく飲めなくて。
だから、オレが口移しで飲ませたの」

そこで一旦言葉を切ると、先輩がわたしの唇を人差し指でぷにっと押す。

「サクのファーストキス、貰っちゃった」

満面の笑みで唇をそのまま撫でられて、ゾワッと全身に鳥肌が立つ。

「でもあんときはサク、意識が朦朧としてたし、もっ回しとく?」

そう言うと、先輩はわたしの返事も待たずに口布を下げるとゆっくりと顔を近づけた。
わたしは反射的に目をギュッと瞑る。

そっと触れる温かで、少しカサついた先輩の唇の感触。
それはすぐに離れてしまう。
目をそっと開けると、すごく優しい顔をした先輩と目が合う。

「サク、もう他の奴にキスするような隙、見せちゃダメだからね.……」

「はい……」

バクバク跳ねる心臓の音を聞きながら、わたしはなんとかそれだけ返事をした。
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