第9章 2度目のファーストキス
公園を過ぎると、あっという間に家に着いてしまった。
名残惜しいけど、先輩は明日も任務だし別れなきゃだよね。
寂しさを隠して先輩を見上げる。
「先輩、送ってくれてありがとうございました」
「うん。あ、サクは明日休みでしょ?
なんか予定ある?」
「いえ、特に……」
「じゃあ、オレも昼過ぎには任務終われそうだから、終わったらサクん家迎えに行く。
サクの誕生日、一緒に祝おう」
先輩、わたしの誕生日覚えててくれたんだ……
「はい!
楽しみにしてます!!」
嬉しくて声が弾んでしまう。
「うん。
じゃあ、また明日な。
おやすみ」
先輩は大きな手でわたしの頬を撫でちゅ、と短いキスをすると、闇夜に溶けるように消えた。
先輩の温もりがまだ残っている唇を押さえ、わたしも「おやすみなさい」と呟いた。