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星降る丘【NARUTO】

第9章 2度目のファーストキス


夜の公園はシンと静まり返っていて、外灯の明かりがポツリ、ポツリ、頼りなく揺れていた。

わたしがなんとなくブランコに座ると、ゲンは前の柵に腰掛けた。

「この公園、変わんないなぁ。
小さい頃、よくここで一緒に遊んだよね」

鎖に腕を回してゆるくブランコをこぐ。

「ん……」

また曖昧な返事……。

「ね、本当に今日どうしたの?
なんかあった?」

「いや……」

しばらく横を向いて何か考えてるふうだったゲンが、ふいにわたしに視線を合わせる。

「あのさ、サク。
オレ、サクが好きだ」

「え?」

予想外の言葉にわたしは呆然とゲンを見返す。
ゲンの真剣な目は、それが冗談なんかじゃないことを物語っていた。

「ずっと、好きだった。
アカデミーのときから……。
長期任務から帰ったら、伝えようって決めてた」

まだ中途半端に先輩への気持ちを引きずっているわたしは、ゲンの気持ちには答えられない。
断らなきゃ、と言葉を発しようとすると、ゲンが近づいてきて私が乗っているブランコの鎖を掴む。

「サクは、あの暗部の先輩のこと、まだ好きなのか?
ハナに聞いた。
バレンタインに告白したって……」

ジャラ、とブランコの鎖が無機質な音を立てる。

「なぁ、なんであんな奴に。
あの人は仲間でも任務なら躊躇いなく殺すって……。
なんて言われてるか知ってるか?
冷血カカシ……」

「カカシ先輩はそんな人じゃないよ!」

言われのない噂を並べるゲンの言葉を途中で遮る。

「カカシ先輩は仲間想いで、無口だけど優しくて、誰よりも強い人だよ!
よく知りもしないくせに勝手に悪口言わないでっ!」

身を乗り出して言い返したそのとき、グイッと後頭部を持たれ、ゲンの顔が眼前に迫る。
しかし、ゲンの唇がわたしの唇に重なろうとしたその瞬間、後ろから誰かに肩を抱かれ強い力で後ろに引っ張られる。

「わっ!!」

ブランコに座っていたから後ろに転びそうになるのを手を力強い力で支えられる。

「サクはオレのだから、気安く触るな」

この声……

後ろを振り返ると、そこには厳しい顔をしたカカシ先輩が立っていた。

「先輩……、なんで……?」

わたしの質問には答えず、先輩は印を結ぶ。
グニャリと空間が歪み、体が浮く感覚にわたしはギュッと目を瞑った。
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