第8章 決意
そのとき場違いな小さな子供の泣き声が聞こえた。
どこ!?
辺りを見回すが、敵に攻撃され見つけることができない。
そのとき、木の上にいた先輩が急降下する。
その先には4つくらいだろうか、小さな男の子。
先輩はクナイで飛んできた手裏剣を弾きながら子供を抱えると、ひとつ、ふたつと後ろに跳び戦線から外れようとする。
しかし、その背後から敵が手裏剣を放つ。
わたしは戦っていた敵を蹴り飛ばし、手裏剣を投げ、先輩に向かっていたいくつかの手裏剣を弾いた。
でもたくさん放たれた手裏剣が、無情にも先輩に向かって飛んでいく。
間に合わない!!
わたしは咄嗟にそのまま先輩と手裏剣の間に飛び込み、クナイで手裏剣を弾いた。
でも、その隙をついて、敵がわたしの間合いに入り込み、クナイを首目掛けて振り下ろしてくる。
それをすんでのところで交わした瞬間、腹に熱く鋭い痛みを感じる。
「っくっ……!!」
別の敵が投げたクナイがわたしの脇腹に深く刺さったのだ。
立っていられなくてグラリと体が傾く。
「サク!!!」
先輩の叫びが遠くで聞こえたのを最後に、わたしは意識を手放した。