第8章 決意
やってしまった……!!
どうしよう、どうしよう、どうしよう……。
なんとか家に帰り着いたわたしは、部屋の中をぐるぐる周り、パタリとベッドの上に倒れこんだ。
しかも間の悪いことに、明日は先輩と一緒の任務だ。
大掛かりな任務のため5人というのがせめてもの救いだが、どんな顔でいけばいいんだろう……。
だいたいわたしは彼女でもないのに、先輩が他の女の子とひっついてたところで、本当に関係ない……。
なのに追いかけてきてくれた先輩に泣いて、八つ当たりみたいなことして……。
最低だ。
ほんと、何やってるんだろう……。
後輩でも犬でもいいからそばにいたいって決意したばっかなのに。
ウソばっかだ。
わたしは先輩が好きで好きで仕方がない。
どうしたらこの気持ちを忘れられるんだろう……。
仰向けになると、熱い涙が一粒こぼれて髪を伝って布団を濡らした。
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翌日、冷やすのが遅かったからか腫れてしまった目を隠すように面をつける。
面があってよかった……。
今日はなるべくとらないようにしなきゃ。
集合場所に行くと、まだカカシ先輩は来ていなくて少しホッとする。
仲間と今日の行程を確認していると、ぬ、と先輩がいつも通りのゆっくりした仕草で現れた。
「おはよ」
「おはようございます。
あの、昨日は……」
「その話は任務終わってからね。
で、どうなった?」
謝ろうとしたが途中で遮られてしまう。
先輩は他の人と挨拶を交わしながら、今日の任務の内容を確認している。
任務に私情を持ち込まない。
当たり前のことだ。
わたしは頭を振り、任務に集中すべく面をキッチリ付け直した。
木々が生茂るうす暗い森の中、わたしたちは敵の忍に囲まれていた。
数は少なくとも30。
間合いを詰めるようにジリジリと包囲網が狭まっていく。
どうやら今日の任務自体が敵国の罠だったらしく、わたしたちの行動はすべて筒抜けだった。
目配せし合うと、包囲網を崩すべくわたしたちは一気に敵へと仕掛けた。
それぞれ大型の技を繰り出し、一気に包囲網を崩す。
バチバチチチっと近くで先輩の雷切の独特の音が聞こえる。
わたしも得意の火遁で応戦する。