第21章 帰還
任務を終え、オレは報告のために5代目の元を訪れていた。
無事に報告を終え退室しようとすると、「おい、カカシ」と呼び止められる。
「……なにか?」
5代目の不機嫌な様子に、任務は別段問題はなかったはずだが内心焦る。
不機嫌な顔のまま、5代目が机に肘を乗せて頬杖をつく。
「お前の嫁、もっとちゃんと休むように言っとけ。
今日熱を出して点滴をうちに病院に来たが、ひどい顔色だったぞ。
張り切るのはいいが、あれではいつか倒れて本末転倒だ。
3日休暇を言い渡したから、しっかりふとんに縛り付けとけよ」
え?サクが……?
でも、まぁいつかそうなるだろうとは予想していたのだが……。
里に帰ってからというもの、サクは寝る間も惜しんで木の葉の孤児院の制度などの改革に努めていた。
学んできた知識を惜しみなく使い、他の従業員たちと意見をすり合わせる。
もちろん子供たちがいる訳だから、通常の業務もある中でだ。
見ているこっちが倒れそうな激務をずっと自分そっちのけでこなしてきたのだ。
体力が普通よりあるとはいえ、さすがに無理がたたったようだ。
「はい……。ご迷惑をお掛けしすみません」
丁重に頭を下げると、5代目がふ、と艶やかな紅のさされた唇をクイっと上げる。
「明日は今のところ急ぎの任務はない。
家で一日ゆっくりサクをみてやれ」
できる人が限られるSSランクの任務がなくなることはないだろう。
これはきっと綱手様の優しさだ。
「……ありがとうございます」
もう一度軽く頭をさげる。
「明後日からはまたしっかり働いてもらうぞ。
お前もしっかり休養してこい」
「はい。それでは」
オレは綻んだ口元のまま、瞬身の術を使いその場を後にした。