第20章 訃報
翌朝、おでこに触れる温もりで目が覚める。
「ごめん。
起こしちゃった……」
昨夜泣いたせいか、熱を持ち重く腫れた瞼を開けると、となりに寝転んだカカシがおでこからそっと手をどける。
「……ううん」
喉がカラカラで声があまりうまく出ない。
軽く咳払いしてから「今何時?」と尋ねる。
「まだ、朝の5時半だよ。
体はどう?
熱は下がったみたいだけど」
言われてみると、昨日よりだいぶ体が軽い。
「もう大丈夫みたい」
「でも今日は一日休んでなよ。
脱水で意識失うって相当だからね」
「違うよ。あれは徹夜で帰ってきたから、疲労もあって……」
「それでもちゃんと水分とってたら、ああはならなかったでしょ」
ピシャリと言われてグウの音もでないでいると、「こんなにキズも作って……」と頬にある擦り傷を、言葉とは裏腹に優しく撫でられる。
「無茶して、ごめん……」
「うん、心配した……」
カカシがわたしの肩を抱き寄せてくれる。
カカシは昨日も、わたしが泣き疲れて眠るまで、ずっと抱きしめて背中をさすってくれた。
きっとカカシの温もりがなかったら、昨日は眠れていなかっただろう。
「昨日は、眠るまで抱きしめてくれてありがとう」
「サクが悲しい時は、いつでも抱きしめるから」
カカシの首元に顔を埋めると、抱きしめてくれていた腕に力がこもる。
その優しさと温もりに甘えてしまい、また涙が出そうになった。
「そんな甘やかさないで。
また泣いちゃいそうになるから……」
最後の方は、声が震えてしまう。
「甘えさせるのが、オレの役目でしょ。
オレの奥さんなんだから、素直に甘えなさいよ」
ポンポンと頭を撫でられて、ぎゅっと目をつぶって堪えてたのに、涙が出てしまう。
でも、泣いても三代目は帰ってはこない。
それどころか、きっと心配をかけてしまう。
歯を食いしばると、手のひらで目をゴシゴシとこすり、気持ちを落ち着けるために深呼吸をした。
「ありがとう。
でも、もう、泣かない……。
いつまでも泣いてたら、三代目がゆっくり眠れないよね。
だから、もう大丈夫」
無理やり笑顔を作るけど、カカシは心配そうにわたしの顔を見る。
「そんな嘘の大丈夫なんて、オレには言わなくていいから。
ちゃんと気持ち吐き出した方がいいよ」