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星降る丘【NARUTO】

第20章 訃報


確かに全然『大丈夫』じゃなかった。
胸の中が、冷たく重たい黒いもので、パンパンになっているみたいで苦しかった。

「大蛇丸が憎い………。
ほんとは今すぐ追いかけて、差し違えてでも殺してやりたい……。でも、そんなことしても、三代目はちっとも喜ばないって、悲しむってわかってる……」

カカシは頭を撫でながら、小さく「うん……、うん……」と相槌をうって、わたしの話に耳を傾けてくれる。

「三代目に、もう一度会いたいよ……。
里に、いればよかった……。
もっとたくさん話せばよかった……。
これからも、わたしがやることを見てて欲しかった……。
よく、やったって……、認めて欲しかった……」

私の後悔や、ぐちゃぐちゃになった感情が、涙と一緒にカカシの服にどんどん吸い込まれて、濃い色のシミを作っていく。
それと同時に、私の胸の中の黒い塊も、少しずつ溶けていくようだった。



ひとしきり吐き出して鼻を啜る音だけが部屋に響くころ、カカシがゆっくり話し出した。

「最近、三代目と話してさ、サクのこと聞かれて、頑張ってること話したらすごく嬉しそうだったよ。
サクが立派になってこの里に帰ってくること、すごく楽しみにしてた。
きっとずっと見守ってくれてるでしょ。
サクのことも里のことも。
なんたって、あの人は火影なんだから……」

「……っ、……」

嗚咽のせいでうまく喋れなくて、何度もコクコクとうなずく。
目を瞑ると三代目の笑顔が浮かんでは消える。
里を、人を、すごく愛してる人だった……。
わたしも、そんな三代目が愛した里のためになりたい……。
今わたしにできることは、復讐なんかじゃない。
それに、悲しんでるひまはない。
三代目に胸を張れるように、1日も早く一人前になるんだ。

流れ続ける涙を拭ってカカシを見上げる。

「……、わたし、三代目に恥じないように、いい孤児院を作るよ。
三代目が大好きだったこの里の子供たちが、みんな幸せになれるようなとこ、絶対作る……」

「うん。
オレも、楽しみにしてる」

向けられるカカシの穏やかな眼差しが、抱きしめてくれる腕が、一人じゃないと優しく教えてくれる。
たくさんの勇気をくれる。
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