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星降る丘【NARUTO】

第20章 訃報


「…うん、ありがとう。
そうするね」

体がすごく重くて顔の筋肉がうまく動かない。
わたしは無理矢理微笑みを作ると、フラフラと歩き出した。
でも数歩歩いたところで意識が遠のきその場に倒れてしまう。

「おい!サク!!」

アスマの声を遠くに聞きながら、わたしは暗闇の中に落ちていった。



おでこに冷たさを感じ、目を覚ます
頭がガンガンと痛む。

「サク、大丈夫?」

聞き慣れた声に頭を動かすと、カカシが心配そうな顔で覗きこんでいた。

「あ、わたし、どうして…」

わたしは家のベッドに寝かされていた。
口の中がひどく乾いて喋りにくい。

「葬儀の後倒れて、アスマが病院に運んでくれたんだよ。
脱水だって。
昨日から、まともに水も食事もとってなかったんでしょ。」

たしかに昨日連絡をもらってから、ほとんど何も口に入れてなかったことに気づく。
カカシの方に寝返りを打つと、濡れたタオルがおでこから落ちて、さっき感じた冷たさはこれだと気づく。

「……カカシも忙しいのに、迷惑かけてごめんね……」

「別に迷惑じゃないよ。
ポカリ、飲めそう?」

カカシが冷蔵庫から取ってきてくれたスポーツ飲料を、重い体を起こし受け取ると、少しずつ喉に流し込む。

「おいしい……」

乾いた喉に冷たいそれは、ひどく心地よかった。

「そ。気持ち悪くない?
まだ熱があるから今日はそのまま寝ちゃいなよ。」

「うん。カカシは?」

まだ、任務があるのかな。
不安な気持ちに襲われて縋るようにカカシを見る。
視線に気づいたカカシが、わたしの頭を優しく撫でてくれる。

「今日はもう何もないから、もうちょっとしたら風呂だけ入ってくるよ」

ここにいてくれることにホッとして、やっと少し笑える。

「うん。
ね、カカシ……?」

「ん?」

「ちょっとだけ一緒に寝て、抱きしめてほしい……」

今は人肌の温もりがどうしても必要だった。
カカシは無言で頷くと、ベッドに入りそっと抱きしめてくれた。

「これでいい?」

「うん……」

カカシの温もりに包まれると、ずっと目の裏に引っかかっていた涙がこぼれ落ちた。
一粒出ると、あとはもう止められなかった。

「……っ、ふ……、うっ…………」

逞しい体に抱きついて涙をこぼし続ける。
カカシは何も言わずに、ただただわたしの頭を撫で続けてくれた。
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