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星降る丘【NARUTO】

第18章 幸せ溢れる日


「あ、そうだ!」

ハナが急に立ち止まる。

「ん?」

「指輪交換するから、少しの間、指輪あずかっても大丈夫?」

そっか。結婚式だもんね。
本当に今から結婚式をするんだと思うと、ドキドキして、でも、どこか実感を持てずにいた。

「うん。」

まだ数日間しかしていないのに、指輪を外すと、なにか物足りないような、変な感じがした。
ハナが丁寧にハンカチで指輪を包むと、丘の上までスカートの裾を持って歩きやすくしてくれる。

丘の上には、同期や暗部の仲間、アカデミーの先生までいた。
そして、赤いカーペットの奥にカカシがタツマと何か話している。
普段もかっこいいんだけど、少し光沢のあるグレーのタキシードに、髪をゆるくオールバックにしているカカシは、カッコ良すぎてつい見入ってしまう。
カカシがこっちに気がつき一瞬びっくりした顔をして、でも、ニコリと笑ってくれる。
普段しない、お姫様みたいなドレスを着ていることが、急に恥ずかしくなる。


「サク、ハナ」

カカシに見惚れていると、聞き慣れた声がした。

この声は…ーー

「三代目、お忙しい中、ありがとうございます。」

ハナが挨拶する先を見ると、そこには正装をした三代目が立っていた。

「うむ。ハナも忙しい中準備ご苦労じゃった。」

ハナを労ったあと、三代目がわたしに視線を向ける。

「サク、見違えたな。
綺麗じゃ」

「っ、三代目……」

「はは、泣くにはまだ早いぞ。」

三代目がそっとわたしの手を取り、両手で包む。
久しぶりに触れる、子供の頃よりもシワの増えた、温かい手。

「ワシはサクが立派に大きくなって、こんな姿を見ることができて嬉しい。
長生きもしてみるもんじゃな。」

冗談めかして三代目が笑う。

「あと100年は長生きして、ずっと見守っててください…」

そう言って、思わずぎゅっと抱きつくと、三代目は「100年はちと長いの」と笑いながらポンポンと優しく背中を叩いてくれた。

隣で涙ぐみながら見守ってくれていたハナが、頃合いを見計らってわたしにピンクの花で作られた可愛いブーケを渡して、ベールを下ろしてくれる。
いつの間にか静かになっていた会場。
わたしは三代目の腕に手を添えて、赤い長いカーペットの上をカカシに向かって、少しづつ歩いていく。
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