第17章 星空のプロポーズ
サクの手にぎゅっと力が込められる。
「もしかしたら、別れなきゃいけないかもって思って…。
そしたら、なかなか言い出せなくて…。」
ヒックとサクが大きな嗚咽を漏らす。
オレの胸のあたりがサクの涙で濡れていき、サクもオレと同じように不安だったんだと知る。
「そんなわけ、ないでしょ。」
サクの小さな背中をそっと撫でてサクが落ち着くのを待ってから、両頬を掌で掴んで上を向かせる。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになったサクが、真っ赤な目でオレを見上げる。
「ふ、ひどい顔。」
「だ、だって…。」
鼻を啜ってオレを睨むサクの涙を両手で拭ってやる。
「オレも、サクが木の葉にもう帰って来なくなるかもって、ちょっと怖かった…。」
「え…?」
「やりたいことが木の葉にないならその可能性もあるでしょ?
ちょっと振られちゃうかもって、思ってた。」
「っ、先輩のことこんなに好きなのに、そんな訳ない!
わたしが先輩を振るなんて、絶対ないですから!!」
サクの必死な顔を見て、体の力が抜けていき、今さら自分がこの話題を振ることにすごく緊張していたんだと自覚する。
「うん…。
だから、サクが帰ってくるまで、オレは何年でも待ってるよ」
サクの目に涙が盛り上がってきて、堪え切れなくなった雫が頬を伝う。
「ふふ、なんで泣くのよ」
「う、嬉しくて…」
何度も手で擦るから赤くなってしまった頬に口付けて、サクをもう一度しっかり抱きしめる。
そうしたら、サクも首に手を回して抱きしめ返してくれた。
「先輩、大好き…」
心地よい体温と重みを感じながら、愛おしさに、顔じゅうに何度もキスをする。
くすぐったさに顔を上げたサクの頬を撫で、唇にもキスをする。
何度も唇を重ねたり、柔く噛んだり戯れるようにキスを繰り返すうちに、だんだん体が熱くなってサクを押し倒すと、息もままならないほど深く口付けた。
オレを見上げる潤んだ瞳、上気した頬、熱い吐息ひとつひとつにひどく欲情してしまう。
のどかな小鳥たちの声を遠くに聞きながら、オレたちは、飽きることなく何度も体を繋げ合わせた。
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