第17章 星空のプロポーズ
三代目にわたしの決意を伝えてから、後任問題などでなんだかんだ半年が経ち、わたしは21歳になっていた。
1ヶ月後にはわたしは木の葉の里を発つ。
とはいえ、少しでも里の役に立ちたくて、わたしはギリギリまで暗部の任務を入れてもらっていた。
今日は先輩とのツーマンセル。
密書の受け取りの簡単な任務だった。
何事もなく巻物を受け取り夜道を帰路に着こうとした時、先輩に呼び止められた。
「サク、ちょっと寄りたいとこがあるんだけど、いい?」
「?…はい」
任務帰りに寄り道なんて珍しいな。
先を行く先輩についていきながら不思議に思っていると、懐かしい場所に着いた。
「あ、ここ……」
「そ。」
そこは昔、任務中に敵から身を隠すために入った横穴。
2人でたくさんの流れ星を見た場所だった。
「懐かしいね。」
月明かりに照らされた先輩が、優しく笑う。
「はい。すごく、綺麗でしたね。
流れ星…」
空を見上げると、今にもこぼれ落ちてきそうな満点の星空。
「今日は、降らないかな…」
あの時みたいに、ただただ2人で空を見上げていると、先輩がポツ、ポツと喋り出した。
「あのときは、こんなにサクのこと好きになるなんて、思わなかったなぁ…」
「やっぱり!!
ドキドキしてたのは、わたしだけだったんだ!!
下着姿で1つの毛布にくるまったのに、わたし意識もされてなかったんですね…」
当時を思い出すように先輩が首を捻る。
「あのときは、妹のいけない姿を見てしまった気分だったかも…」
「全然意識されてない…」
「いや、逆に初めてサクのこと女の子だって意識した場所かな…」
「それって、それまでは女の子としても見てなかったってことじゃないですか!」
「そうかも」
「えぇー…」
ヘコむわたしを先輩がクックっと笑う。
そして私の頬を両手で挟んで目を合わせる。
「でも今は、世界でいちばん大切な女の子…。」
「っっ!!」
不意打ちの甘い言葉と共に、愛おしむような、優しい表情で見つめられ、心臓がドク、ドクと早鐘を打つ。
「せ、んぱい??」
なぜか緊張してしまい、声が掠れる。