第17章 星空のプロポーズ
サクが寝転がりうーん、と伸びをする。
2人の間に流れる心地よい沈黙。
爽やかな風が吹いてきて、聞きたいことを聞けずにいるオレの背中を押してくれている気がした。
「…サク、なんかあった?」
「え?」
少し後ろを振り返ってサクを見る。
「最近、よくボーっと考え事してるでしょ。
なんかあったのかなって思って。」
「…えっと……。」
言い淀んだサクが、しゃべろうとして、一度口をつぐむ。
「言いにくいことだったら、無理に言わなくて…。」
ガバッと起き上がったサクが、急にオレの背中に抱きつく。
「…サク?」
「先輩、わたし、木の葉の里を離れたいんです…。」
サクが掠れた小さな声で呟く。
ああ、やっぱり。
風見鶏の家に行ったときの、サクのキラキラした目を見たときから、いや、もしかしたら、もっと前からだったかもしれない。
そんな予感は幾度もあった。
「うん。そんな気がしてた…。」
正直な感想を述べると、サクが「え…。」と声を上げた。
オレはサクの手をそっとほどくとサクと目が合うように向かい合う。
「里を出て、どこに行くの?」
ドクン、ドクンと心臓が嫌な音を立てる。
サクが、話す言葉を探すようにしばらく俯いたあと、ポツリ、ポツリと喋りだす。
「サスケやナルトを見てたら、木の葉にも手助けが必要な子供がたくさんいるって分かって…。
今までは外に向いていた気持ちが、木の葉に向いて、やりたいことがやっと定まった気がしたんです。
わたし、木の葉に風見鶏の家みたいなところを作りたい。
一般の人と、忍じゃ違うところもあるけど、心の拠り所みたいなものが、木の葉にはまだ足りないと思うんです。
でも、ここにいても学べない。
だから一度、風見鶏の家に学ばせてもらえないか、相談に行ったんです。
そうしたら、少なくとも5年は学ばないといけないって…わっ!」
オレがサクをぎゅっと抱きしめたから、サクの言葉が止まる。
「サクのこと、待ってる…。」
ビックリして固まっていたサクの手が、オレの背に怖々回される。
「5年も、ですよ?」
「ずっと会えないわけじゃないでしょ。
任務で近くに行ったら寄るし。」