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星降る丘【NARUTO】

第15章 風見鶏の家


あ、あれ?怒ってない……?

顔を上げると、先輩がわたしの肩にポス、と頭を乗せる。

「オレ、今思うとサクのそういうとこに、すごい助けられてきた気がする……。
オレのこと好きだって、オレといるの嬉しいって、いつでも全力できてくれたでしょ?
だから、ありがと……」

急な感謝の言葉にビックリして、でも嬉しくて胸が熱くなる。
先輩の顔はわたしの肩に埋められていて表情はわからないけど、色素の薄い白い耳が微かに赤く染まっている。

「そんなふうに思ってくれて、嬉しいです……」

寄せられた頭を両腕で抱きしめると、先輩も背中に手を回して抱きしめ返してくれる。

「オレのこと、怖くなかったの?
いろんな噂、聞いたでしょ?」

「そりゃ、最初は怖かったですよ。
暗部っていうはじめての場所だったし、先輩は無口、無表情だし……。
でも、一緒に任務につくようになったらすぐに怖くないってわかったから。
優しい人なんだって。
だから、仲良くなりたかったんです」

「サクがそうやってきてくれたから、オレもいつの間にか心開いちゃってたんだよな……。
三代目が言ってたよ。
サクは塞ぎこんでるオレのために暗部に配属にしたって。
サクのそばにいたら自分のこと顧みない危なっかしいオレの足がちゃんと地に着くって」

「ええ!?
そんな大それたこと、わたし何もしてませんよ!!」

「ううん。
三代目の思惑通りすぎてちょっと悔しいけど、オレもその通りだと思う。
サクがいるから、オレは自分を大事にできるようになったし……。
過去の後悔が消えたわけじゃないけど、次こそ大事なものをこの手で守りたい……」

先輩の想いに、抱きしめてくれる腕の力強さに、嬉しくて涙がこぼれ落ちた。

「へへ、嬉しくて、なんか涙出ちゃった……」

先輩が顔を上げてそっと涙を拭うように、目元に優しく口付けてくれる。
唇は、頬、鼻、耳、おでこ、顔中に降ってきて、最後にそっと唇に重なった。

「サク、愛してる……」

最後、囁かれた言葉に、また涙が溢れてしまう。

「わたしも愛してます」

先輩の肩口に顔を埋めると、先輩の匂いがして愛おしくてさらにギュッと抱きつく。

陽の光を浴びてキラキラと煌めく湖面の真ん中で、わたしたちはしばらく抱き合っていた。


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