第14章 やりたいこと 下
「!ちがいます!!
でも先輩は仲間を守る時、自分を顧みないところがあるから、心配なんです!」
「それは、サクに言われたくない」
苦笑しながら先輩がわたしのお腹の傷を撫でる。
あ……。
先輩を咄嗟に庇ったときの傷……。
「オレはサクがオレのために傷つくのこそ、もうヤだ。
それに、サクっていう大事な人がいるから、前みたいに自分を粗末にしたりしないよ。
オレが死んだらサク、泣くでしょ?」
「当たり前です!一生泣きますから!!」
「うん。それは困るから頑張る……」
ふ、と笑った先輩がわたしの頭をもう一度撫でる。
「だからサクは、自分のしたいことちゃんとして欲しい」
諭すみたいに優しく言われて、わたしはコクリと素直に頷いた。
「先輩、ありがとうございます……」
「当たり前でしょ。
オレはサクにゾッコンなんだから」
冗談めかして言う先輩につい笑ってしまうと、先輩も優しく笑い返してくれた。
わたしたちは、どちらからともなく引かれ合うように唇を重ね合わせた。