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星降る丘【NARUTO】

第14章 やりたいこと 下


文句を言うオレを風呂場に押し込み、サクがさっさとキッチンに戻ってしまう。
オレは仕方なく服を全部脱ぎさると、熱いシャワーを頭から浴びた。



頭を拭きながら風呂をでると、小さな食卓には美味しそうな朝ごはんが並んでいた。

「あ、先輩。上がりました?」

お茶をグラスに注ぎながら、サクが笑顔で振り向く。

「うん。
メシ、ありがと。
はし、持ってくるね」

「ありがとうございます!」

食器棚から2人分の箸を取り、机に置く。

卵焼き、焼き鮭、しらす大根、きのこの味噌汁、ごはん。
出汁の香りに急に腹が空いてくる。

「いただきます」

手を合わせてネギたっぷりの卵焼きにかぶりつく。
あつあつの卵焼きはふわふわで少し甘くておいしい。

「サクのごはんって、なんでこんなうまいんだろ……」

オレがポツリとこぼすとサクは一瞬ビックリして、それから「へへ、ありがとうございます!」と言ってすごく嬉しそうに笑った。

一人暮らしが長いから料理は一通りできるが、サクの料理は手が込んでいる訳でもないのに、自分が作ったものよりなぜかすごくおいしい。

「わたしの料理は、かあさ……、ビワコ様直伝なんです。
一人立ちできるようにって、生活に必要なことは厳しーく、一通り教えてもらいました」

かあさん……

ビワコ様は三代目の奥さん。
幼少期、三代目の家で暮らしていたサクは、きっと家ではそう呼んでいたんだろう。
サクが大雑把な性格のわりに家がいつもきれいなのも、そのせいかもしれない。

「オレしかいないし、いつもの呼び方でも別にいいんじゃない?」

「そう、ですね。
じゃあ、母さん」

照れたように、でも少し寂しそうにサクが言う。
ビワコ様は九尾襲来の際に亡くなっている。

辛いこと思い出させちゃったかな……。

でも、サクは笑顔で話を続ける。

「でも、わたしは先輩のごはん、好きです。
誰かが自分のために作ってくれたごはんって、美味しいですよね」

「ほんと?
じゃあ、次はオレが作るよ」

「やった!」

無邪気に笑うサクにつられてオレも笑う。
朝のまぶしい光につつまれて2人で食卓を囲む穏やかな時間はすごく幸せで、オレは心が満たされていくのを感じていた。
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