第8章 7話
二人の後ろ姿を見つけ声をかけると二人して振り向いてくれた。
緑「先生・・・」
『お昼?』
緑「はい
先生はどうしたんですか?」
『私もお昼ご飯を・・・轟君?』
偶然を装って焦凍と話をするためにご飯でもと思ったが、緑谷と話している途中で焦凍に手を引かれた。
松葉杖をついているため強引ではないが、目が来いと言っている。
『緑谷君ごめんね
轟君借りてもいいかな?』
緑「あ、はい」
焦凍に連れられどこかに行く二人の姿を緑谷は不思議に思いながらも見送った。
『・・・・・』
人気のない場所に連れてこられたと思えば、焦凍がいきなり抱きついてきてそのまま何もしゃべらない。
の焦凍が何か話たくて連れてきたことはわかっているので、話してくれるのを待っているのだが数分間ずっと沈黙している。
『(どうしたもんか・・・)』
松葉杖を持っていない方の手で焦凍の頭を撫でてやると、少し息を吸い込んだ。
焦「・・・・さっきの騎馬戦で左、使っちまった」
『うん、見てたよ』
焦「あいつが見てた・・・!」
『うん』
焦「緑谷と戦ってると無意識に使ってしまう・・・」
左を使ったことを後悔しているというよりは、自分で決めた誓約を破ったことに動揺しているように見える。
『それは・・・いけないこと?』
焦「だって知ってるだろ?
俺が左を戦闘で使わない理由・・・」
『知ってるよ
けどさ、それは焦凍君の力だよ』
焦「どうして急にそんなことを・・・」
は一度も焦凍に左を使わないのかと言ってきたことはない。
もちろん理由を知っているからだが。
だが、今回初めては左は焦凍の力でありそれを使うことはいけない事なのかと聞いてくる。