第2章 1話
焦「で、でも・・・」
『ん?』
ぐしぐしと右袖で涙を拭い、の目を見つめる。
焦「あいつを・・・お母さんの力だけで超えるって決めたんだ!」
『(お母さんの力?)
そっか、じゃあ帰れる?
もし、焦凍君が本当にお家に帰りたくない、お父さんところにいたくないって言うのなら私が力を貸すよ』
焦「え・・・」
『これでも私は雄英高校のヒーロー科
あなたが困っているのであれば助ける事が出来るかもしれない』
最初から気になってはいた。
左側だけ火傷した顔。
『(どうやったらこんなやけどができるの・・・?)』
少しざりっとする火傷の跡を優しく撫でる。
またしてもぽかんと口をあけたまま固まる焦凍からの返答を待つ。
焦「・・・大丈夫
ここで逃げちゃダメな気がするんだ・・・
だから帰るよ・・・」
目に涙は溜まっているが目の光は強い。
『わかった
いい子だね』
焦「!?」
繋いでいた手を引っ張られぎゅっと抱きしめられる。
背中を規則正しいリズムでぽんぽんと叩かれると、ふっと体の力が抜けた。
あふれ出そうになる涙をまたしても堪え、の背中に手を回しぎゅっとすがりつくように抱きつく。