第2章 1話
見舞いを素早く済まし、まだあの男の子がいますようにと祈りながら門まで走らない様に気を付けて急いで戻る。
病院の自動ドアを抜けると先ほど別れた場所に立っているのが見えてほっとする。
『よかった
待っててくれたんだね』
「・・・うん」
『じゃあ帰ろうか
お家まで案内してくれる?』
笑顔で右手を差し出せば自分の左手を数秒じっと見た後控えめに握ってくる。
『あ、そういえばまだ名前も言ってなかったね
私雄英高校1年のっていうの
君は?』
「・・・しょうと」
ぼそっと自分の名前を告げた男の子は不安そうにを見上げる。
焦「ねぇ・・・・・これって・・・誘拐じゃないよね?」
『え!?
ああ!そうか!
どう考えても怪しいよね!?
見ず知らずの女に一緒に帰ろうって言われてお家どこなんて・・・
が、学生証とか見せたらいい?いやでもそんなの意味ないか・・・
あ、私の保護者にでも電話・・・いやいやそれも共犯者とかだったらどうすんの・・・』
焦凍の問いにうーん、と考えだしたにふっと笑った焦凍はぎゅっと手を握る。
焦「もういいよ
お姉さんが怪しくないのは十分わかったから」
『え!?なんで!?』
腑に落ちないは首をかしげるが、焦凍に手を引かれ病院の敷地から出る。