第3章 2話
それからしばらくと焦凍は年末の特番のお笑いを見ている。
だが、どんなに面白いネタや人気の芸人が出ても二人の笑い声はしない。
『あ、あの焦凍君・・・///』
焦「なんだ」
『なんだじゃなくてさっきから何度も言っているようにこの手を離してくれないかな?///』
焦「それに関しては俺もさっきから何回も嫌だって言ってんだろ」
むすっとした顔をしている焦凍は何度も同じことを言うに対して不機嫌気味だ。
は焦凍が不機嫌になってきているのはわかってはいるが言わずにはいられない。
『だ、だってテレビ見てるだけなのにこ、腰に手あてなくても・・・///』
そう。二人はただテレビを見ているだけである。
普通と違う所は焦凍がの腰をがっちりとホールドし自分に無理やり寄りかからせているところだろう。
最初はいつものようにの手を握っていたのだが、急にそれが肩に回り焦凍にぐいっと引き寄せられた。
それに驚いたが反射的に離れようとしたため、むっとした焦凍が肩においた手を腰に移動させて固定したのだ。
もう逃げないから離してくれと何度頼んでも焦凍は離してくれない。
むしろ頼むごとに徐々に力が強くなっている。
正直本気で嫌がれば焦凍は離してくれるのはわかっている。
わかってはいるのだが、
焦「は俺とこうするのは嫌か?」
と、不安げに聞いてくる焦凍に”嫌”と返せるわけもない。
”嫌じゃないけど恥ずかしい”と返せば”嫌じゃないならいいだろ”と全く聞く耳を持ってくれない。
焦凍の目線はテレビを見ているがはたしてちゃんと見ているのだろうか。
諦めたようにため息をついたはもうどうにでもなれと全体重を焦凍に預けた。