第3章 2話
蕎麦を食べ終わった後、片づけも焦凍がしてくれると言うので任せた。
(轟家の漆塗りの蕎麦ざるを洗う勇気が出なかった)
洗い物が終わった焦凍は、”忘れるところだった”と荷物の中から小さな紙袋を取り出してに渡す。
『なにこれ』
焦「クリスマスプレゼント」
『え!?』
スペースは沢山あるのにわざわざの右隣に座り、しれっと開けてみてと言う。
何にも用意してないどうしよう、と内心焦りながらもいつもよりわくわくした顔の焦凍に急かされプレゼントを開ける。
『ネックレス?
かわいい・・・』
紙袋の中に入っていた長細い箱を開けると、先端に小さなハートのついたピンクゴールドの可愛らしいネックレスが入っていた。
”なんか高そう・・・”というのが顔に出ていたのか、焦凍に”気にすんな”と言われた。
焦「つけるから後ろ向いて」
肩を無理やり押されて、焦凍に後ろを向けられると首にひんやりとした感触がする。
『ご、ごめん
私何も用意してなくて・・・
お蕎麦も持ってきてもらったのに・・・』
焦「いや、これは俺が勝手にやってることだし別にいい
似合ってる」
最初にクリスマスに少しでも会えないかと電話してきた理由がわかり、何週間も前から考えてくれていたものだとわかる。
申し訳なさそうにうつむくの頭を撫でて正面に回り、満足そうに優しく笑う焦凍は特に気にした様子はない。