第3章 2話
そのあとも首やおでこなど冷やしてくれた。
『これ贅沢だね』
焦「そうか?
こんなんでよかったらいつでもやってやるよ」
昔よりさらに無表情になった焦凍なので、本気で言っているのかどうかわからない。
けれど優しいことは知っているためやってほしいと言えばやってくれるのだろうと思う。
『もうだいぶ涼しくなったよ!
ありがとう』
いまだに頬にあててくれている冷気の纏った手に自分の手を重ねて、自分の頬から離す。
焦「に熱中症にでもなられたら困る」
『焦凍君も気を付けてね
個性の使い過ぎは凍傷になっちゃうんでしょ?』
焦「こんだけ暑かったらならねぇだろ」
『それもそうだね』
それからはいつも通りに合ってなかった期間の他愛のない話をお互いに話し合う。
焦凍にとっての話はヒーローになるための授業内容なので、いつも熱心に聞いている。
轟家の夕飯が19時からなのでそれに合わせるように焦凍を帰らすようにしている。(最初なかなか帰らなかった焦凍を心配してお姉さんが迎えに来てしまったのだ)
心配をかけてはいけないと焦凍に伝え夕飯までには帰る約束をしているのだ。
『そろそろ帰らないとお姉さんが心配するよ』
焦「そうだな・・・
じゃあ・・・ん、」
いつも名残惜しそうに立ち上がる焦凍に後ろ髪を引かれる思いだが、轟家の皆さんを心配させることはしてはいけない。
この会合が始まって以来、別れるときには必ずが焦凍を抱きしめる。
既に焦凍の方が背が高いので抱きつく形になってしまうが。
いつものこととわかっているので焦凍はから来るのを立ち上がって両手を広げて待っている。