第6章 そんな君だから【エー監】
言い終わる前にユウはコテンとベンチに体を預け寝てしまう。
夜な夜なチョコを作っていたせいだ。
「…俺のチョコはねぇのかなぁ…ま、余りがあるならそれもらおー」
「…ん………えーす……」
「んぁ、どーしたユウ…っ」
寝ぼけたまま、ユウは隣に座る俺の肩に頭を乗っけてくる。
何だこれ………かわい………
「お、おいユウ…?」
「……すー…すー……」
「マジか…」
少し周りを見渡して、ユウをそのまま抱えてオンボロ寮へ行く。
もちろん、お姫様抱っこで。
「おーい、ユウ?寮に着いたぞー」
「………」
「…参ったなぁ」
グリムはどこへ行ったのか、姿が見えない。
仕方なくユウをベッドに寝かせ、暫く寮にいることにした。
「ほんと、黙ってれば可愛いのになぁ」
前髪をさらりとよけると分かる、長い睫毛。
「…別に黙ってなくても可愛いけど。つーか、お前トレイ先輩が好きなの?」
届きもしない、返事も来ない会話を繰り返す。
寝ている時しか本音で話せないなんて、ダサい。
分かっているけど、素直になれない。
「…好きな奴からしか、チョコはいらねえんだよ」
「…ん………」
「!?」
突然、ユウが目を擦りながら体を起こした。