第7章 遊びのくせに【フロ監】
「あ、先輩……」
「どぉしたのぉ?」
「すみません少し電話で…」
「いいよぉ〜」
「すみません…」
電話がかかってきて、仕方なく出るとエースだった。
「何エース…」
「悪かったって。学園長がさぁ、ユウめっちゃ探してんだけど」
「なんで?」
「知らねー」
「はぁ」
「帰ってこれねぇ?」
「……難し…あっ」
「なぁにカニちゃん」
「げっ…こんにちは」
「帰るけどぉ、5時間ぐらいかかるからぁ伝えといてぇ」
「あ、はい。了解っス」
「じゃあねぇ」
「先輩…!」
せっかくの旅行なのに…
まさか学園長に邪魔されるなんて思わないじゃん…
しかも先輩帰るって言っちゃったし。
「別に学園長なんて放っておけば良いのに…」
「いいのぉ。また来ようって言えるでしょぉ?はい約束ぅ」
「…はい…」
「約束したからぁ、ぜってーだからねぇ?」
「はい…」
「ほらそんな顔しねーの。いつでも来れるんだから」
「……」
私に『いつでも』なんて言える覚悟は無い。
だから今日、楽しみにしていたのに。
「…大丈夫だって。遠くに行っても迎えに行くって約束したでしょぉ」
「!」
「そろそろ帰んないとねぇ」
「はい!」
先輩は遠く離れた場所でも迎えに来てくれる。
そう思うだけで、少し心が軽くなった。
そして、帰り際。
「先輩!」
「なぁに」
「また来ましょうね」
「うん。来ようねぇ」
そう、約束した。
fin.