サバイバーに裏切られたのでハンターになって復讐しようと思う。
第24章 行方不明
~リッパー視点~
朝目覚めたら、自分の体が透けている事に気がついた。
何かのバグだろう、と放っておいたら、いつのまにか完全に消えてしまった。
さすがにこれはまずいかもしれない、と思い、ナイチンゲールのところに行こうとしたが、ドアが掴めなかった。手が貫通してノブが握れないのだ。
「これはいよいよまずいですね…。」
そうこうしていたら夏葉が起きた。ノブも握れないのだから、話しかけても反応はないだろうと思いながらも一応話しかけてみた。
やはり、夏葉はこちらを振り向かない。存在が認知されないというのはこんなに辛いのか、と思った。
その後は、夏葉が着替えて何処かに行ってしまったので大人しくベッドに寝転んでいた。ノブは反応しないのにベッドに横たわれるのはかなり矛盾しているなぁ、なんて思った。
数時間経った今。
「ジャック~…」
夏葉が私の名前を呼んでくる。
「はい」
聞こえないと分かっていながらも一応返す。このバグはいつ直されるのだろう。
夏葉が部屋の中を歩き回って何かを探している。いつもなら探すのを手伝うだろうが、今は何も出来ないのでただ見守っていた。
「夏葉、見つかった?」
ジョゼフが夏葉を呼びながら入ってくる。二人で何かをしていたのか。……私は今どんな扱いをされているんだろう。
「ジャックいないのぉぉぉ」
夏葉がそう言って号泣しながらジョゼフに抱きつく。成る程、私を探してくれていたのか。
夏葉が号泣して泣き止まないので、ジョゼフも困った様子でハンカチで涙を拭いてやっていた。
今ドアが開いているうちにナイチンゲールのところに行こう。
そう思い、立ち上がってすぐ行動する。
ジョゼフたちの横を通り抜けるために、少し壁に寄って移動する。
スルッと、壁を通り抜けた。体が透けていて、壁に当たらなかったのだ。
こんなことならもっと早く行っておけばよかった、なんて思いながらナイチンゲールのところまで走った。