第3章 出会いは突然に。
「…で、そいつらは?」
少しの沈黙の後に聞いてきたお兄さん。
「どうですかね…ただの狼と鷹と信じたいんですけど…」
いや、何となくは察している。
この子達が普通ではないと。
「…まぁ、お前に危害加えてねぇんなら大丈夫なんだろ」
「そうなんですかね。…あ、お兄さん、名前は?助けてもらうだけもらって全然聞いていませんでした」
そういえば。と思い聞いてみる。…と、まてまて。まず相手に聞くなら自分からがセオリーってものだろう。多分←
「あ、すみません。私は華滑零です」
私が自己紹介すると渋々といった感じで「…伏黒甚爾」と名乗った。
それからしばらく世間話をすこしして気がつけば辺りは紅く色づいていた。
「おや、もうこんな時間…では伏黒さん。そろそろ帰らないとさすがに親に心配されてしまうので…そろそろ帰ります」
「そーかよ。気ぃつけて帰れよ」
「…また、会えますかね」
ふと出た言葉。
別に何も考えて発した訳じゃない。なんとなくで出た言葉。
「…まぁ、気が向いたらここで会えるんじゃねぇの?」
伏黒さんも最初目を見開いて驚いたがぶっきらぼうにそう答えた。
なるほど、ツンデレですか←
でも私はまた会えるという約束ができて何故か嬉しかった。
ニコニコ笑いながら「じゃ!また!」と元気に公園を去った。
「華滑なんて…お前も色々あんだな…」
一人、公園のベンチに座った黒髪の男は先程去っていた少女の方向を見ながら呟いた。
勿論、その呟きは少女に届くはずもない___。