第3章 【白澤】
あの世絶景100選の一つ、桃源郷。
「誘ってくれてありがとう、鬼灯様!様!」
「わぁ!さすが観光名所!」
「キレイ……」
「あれ?様は来た事ないんですか?」
「…うん……鬼灯さんが何故か行かせてくれなくて」
「へぇーじゃあ今回は特別OKなの?」
「ええ……はい、まあ…」
――というか、普段感情を表に出さない彼女があんなに目をキラキラさせて頼んできたら……断れませんよ
―桃源郷・仙桃農家―
「ああ……天職が見つかるって素晴らしいなあ……心なしかイケメンになった気もする」
日本一有名なヒーロー:桃太郎
第2章でチンピラから見事社会人へ
「白澤様、仙桃の収穫終わ…」
桃太郎が店の扉を開け、そこまで言いかけた時、“何か”が飛んできた。
そして、ごっ、と物凄い音をたてて桃太郎にぶつかる。
――痛いッッ!!!
その飛んできた“何か”は、むくっと顔を上げ……
「……イヤ、ホント。怖いよね、女の子って」
「…シャチホコみたいになってますよ……」
「あ、仙桃?穫ってきてくれた?謝々、ありがとね」
「はい……俺がここに来てから実に8人目の女性を見た気が……」
「違うよ。厳密に言うと9人だよ。おかしいよね、ウサギは年中発情してても誰も怒らないのに僕だと女の子は怒るんだ」
「いや、一つもおかしくないです」
「あ、ゴメンね。怪我は?」
「あ、大丈夫です。スミマセン」
パン、パンと桃太郎の頭を払っていた白澤が一つの葉を掴み取る。
「この葉っぱ、何だかわかる?」
「…何だろ。あ、ホオズキ?」
「そう!根っこは生薬、鎮痛剤や利尿薬になる。だけど毒でもある。微毒だけど。昔、遊女が堕胎薬として服用してたこともある。妊婦さんは食べちゃだめ」
「その通り。アルカロイド及びヒストニンを含みますので流産の恐れがあります」
「そうそう…」
サ――と白澤の顔色が悪くなってゆく。
「もっとも、貴方はたらふく食って内蔵出るくらい腹下せばよいのです」
「伏せろ!コイツは猛毒だ!!!」
「えっ…あ、鬼灯さん」