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名もない物語

第9章 【溢れ返ってきたヨッパライ】



「…………おはよう、鬼灯さん白澤様」

がタクシーから飛び降り、地面にきれいに着地する。

もうすっかり回復したに見えたがまだほんの少し頬が赤い。

そんなを心配して鬼灯が駆け寄る。

「大丈夫なんですかさん?」

「…当たり前」

「まだ頬が赤いです。ここは私に任せて貴女は…」

「それはダメ」

今までにない、強い口調。

「ここは、私の管轄」
こうなってしまった彼女は誰になんと言われようと引かないと、鬼灯は知っていた。

あきらめて溜息を吐く。

「……わかりました。貴方に任せますが無理はしないでください」

鬼灯の言葉にこくりと頷いたは白澤の方を振り返った。

「白澤様の所有地にある『養老の滝』…いくらでレンタルできる?」

「……なるほど、押してダメなら引いてみろってやつだね。んーとりあえず早急に50万、借り続けるなら月極めで」

「…わかった。じゃあ、いますぐ閻魔庁予算から支払う。八岐大蛇さんは天国まで行って養老の滝からお酒たくさん持ってきて。あと、ここの獄卒は全員スーツとネクタイに着替えてもらう」

呆けている獄卒たちにが再び声をあげる。

「今すぐに」

「ハ…ハイ!」

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