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名もない物語

第8章 【酒と女でダメになる究極の例】




「……ここは、淑女の力で止めるのが一番」

「え?」

お香さんの手からマイクを取り、彼女はーー

「カッちゃんタッちゃん…喧嘩、しないで…?」

「様なんかモノマネすげー上手い!!?」

ぶっ、と同時に酒を噴いた二人に対し、獄卒たちは驚いた表情でを見ていた。

普段の彼女の性格からして出来たとしてもモノマネなど絶対しない。

少し酔っているのだろうか。

「アーハハハハハハ、いいなあちゃん可愛いなー」

「なんでコイツと双子なんですか」

ぱたぱたと寝転がって大受けしてる白澤と気に入らないといった風で升をテーブルに投げつける鬼灯。

「ちゃんが言うなら喧嘩やめるよ」

本人の許可もなく太ももの上に頭を乗せ横になる。

つまり、膝枕である。

だがは(酔っているためか)気にした様子もなかった。

「あ~紂王の気分だな~~」

「紂王って……中国皇帝の?」

「そう、妲己の夫。妲己ってのはちゃんみたいな才色兼備だよ」

「酒池肉林等あらゆる贅と淫楽を極めた九尾の妖狐です」

「ほ~~~」

いつの間にかこちらへ来ていた鬼灯と桃太郎も会話に加わる。

「人を火で炙り蛇に食わせ、それを見て喜んだというなんとも恐ろしいドS妖怪……」

「オマエが言うか」

そういえば、と桃太郎が白澤に問いかける。

「白澤様会ったことないんですか?」

「これがないんだな~まぁ今はちゃんいるし、別にいいかな」

「彼女なら日本へ来て玉藻前という女性になり、鳥羽上皇を惑わしたりしました」

「へえ、日本へ?」

「今は…ここから三軒先でボッタクリ妓楼、やってる」

「あの店そうだったのか!!」

「その口ぶりはもう行ったんですね」

慌ててちゃんと会う前のことだよ、と言う白澤。

「……そうか…彼女がそうだったのか~」

「え?」

「大分酔ってたからな~気付かなかったよ……」

「え?え?」

一人状況を上手く飲み込めない桃太郎。

「……あれ、今日あたり請求書届けに来るはずだけど…桃タロー君会ってない?」

その一言で桃太郎はーー

今朝のことを思い出した。
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