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名もない物語

第7章 【かちかぢごく】


「最近どうも亡者を逃す等、甘い者が多いです。拷問の仕方もヌルいため亡者もさほど苦しがっておらず、正直見ていられません」

「この間……釘バットならまだしも、ちくわで叩いてるだけの獄卒がいた。勿論、“注意”しておいたけど」

「ですので本日はまず、さんから昔話をしていただきます」

「かちかち、かちかち
『うさぎどん、この音は何だい?』
『かちかち鳥さ、かちかち山に住む鳥だよ』
うさぎは、狸の背負っている柴に…火をつけました。
ぼうぼう、ぼうぼう
『うさぎどん、この音は何だい?』
『ぼうぼう鳥さ』
ーー次の日、うさぎは火傷をしたたぬきの背中に薬だと言って……芥子味噌をごってり塗り込みました」

は普段からおっとりと静かな話し方だが、このシチュではただただ聞いている者の恐怖を煽るだけである。

ごく..と獄卒たちが唾を飲み込む。

「『さぁたぬきどん、この櫂に掴まって!』
そう言いながらうさぎは、たぬきを叩きました。
やがてたぬきは力尽き、沼の底に沈んで、死んでしまいました」

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