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曇った空の恋の話【第5人格】

第25章 ルカ編


「夏葉、キスしよ?」

「ん?酒なんて飲んでないよ?」

「いや、だから、あの、キス!!」

どうしたんだろう、ルカがこんなこと言うなんて。

まぁ、いっか。ルカだし。

「いいよ」

「…!?いいの!?」

「うん。だって、ルカだし。何かあったら容赦なく殴れるでしょう?」

「どんな理由!?まぁ、いいや。…じ、じゃあ、キスするよ?」

「うん」

相手がルカとはいえ、少し気恥ずかしいので、目を瞑る。

数秒後、唇に、少し乾いた柔らかい感触を感じる。

「っ!」

心臓が一気に跳ね上がり、体はピクンと反応してしまう。

つまり、ただ単に驚いたというだけだ。

「…ん、あ、りがとぅ………」

顔を真っ赤にして、机に伏せるルカ。

「何でルカが恥ずかしがってるのよ」

「いや、だって、キスとか初めてだしさぁ…言っちゃったもののキスの仕方とか知らないしさぁ」

「へぇ?じゃあ、ファーストキスは私なんだね。やった♪」

「夏葉は?」

「なにが?」

「だから、キスの相手。何人目?」

いや、私がいくら男性とスキンシップをとるからって、さすがにキスまではいかない。

「今日が初めてだよ?」

「じゃあ、お互い様だね」

「だね!」

二人顔を見合わせて笑った。

ファーストキスを同時に失ったねー、などと言いながら。
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