第21章 ジョゼフ編 (新)
ジョゼフの腕に頭を乗っける。
腕枕って、なんだか落ち着くよね。
「ふふ、可愛いなぁ。ぎゅー」
ぎゅ、と優しくでも強く抱き締められる。
包容力があって、落ち着く。
「ねぇ夏葉?」
「…なに」
「夏葉もちゃんと、僕から離れていかないでね」
更に深く抱き締められる。
成り行きと勢いに負けて付き合い始めたとはいえ、ちゃんとジョゼフの事を愛そうとは思っている。
「…当たり前」
自分も、ジョゼフの大きな体を抱き締め返す。
この時間がずっと続けばいいのに、と思う自分がいることにびっくりする。
今まで、こんな気持ちになったことがあるだろうか。こんなに優しい、赤ん坊が母親に抱かれているかのような安心感を。
私はこんな気持ちを、感情を、知らなかった。
「大好き」
「……え?」
どうしよう、つい口から本音が出てしまった。おかしい、理性が何処かに吹き飛んでしまったように、感情を抑えることが出来ない。
私は何故か、涙を流していた。
理由なんて分からない。ただただ、一緒に居て安心できる、信頼をおけるジョゼフを前に、泣き出してしまったのだ。
ちょくちょく突拍子もない行動をするし、天然的なアホだけど、それでも大好きなジョゼフ。
「大好き、ジョゼフ。ずっと一緒に、居てね」
ジョゼフは落ち着きのある優しい声で、「勿論」と答えた。
「何があっても、離さない。たとえその命が燃え尽きようとも…ね」
「ふふ。どっかのポエマーみたい」
「ポエムならいくらでも聞かせてあげるよ。まぁ、今のは本心だけどね」
「ふふ」
そのまま私とジョゼフは、幸せな心地で眠った。
お互いに愛し合ったこの時を、絶対に忘れたくない。