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曇った空の恋の話【第5人格】

第21章 ジョゼフ編 (新)


ジョゼフの腕に頭を乗っける。

腕枕って、なんだか落ち着くよね。

「ふふ、可愛いなぁ。ぎゅー」

ぎゅ、と優しくでも強く抱き締められる。

包容力があって、落ち着く。

「ねぇ夏葉?」

「…なに」

「夏葉もちゃんと、僕から離れていかないでね」

更に深く抱き締められる。

成り行きと勢いに負けて付き合い始めたとはいえ、ちゃんとジョゼフの事を愛そうとは思っている。

「…当たり前」

自分も、ジョゼフの大きな体を抱き締め返す。

この時間がずっと続けばいいのに、と思う自分がいることにびっくりする。

今まで、こんな気持ちになったことがあるだろうか。こんなに優しい、赤ん坊が母親に抱かれているかのような安心感を。

私はこんな気持ちを、感情を、知らなかった。

「大好き」

「……え?」

どうしよう、つい口から本音が出てしまった。おかしい、理性が何処かに吹き飛んでしまったように、感情を抑えることが出来ない。

私は何故か、涙を流していた。

理由なんて分からない。ただただ、一緒に居て安心できる、信頼をおけるジョゼフを前に、泣き出してしまったのだ。

ちょくちょく突拍子もない行動をするし、天然的なアホだけど、それでも大好きなジョゼフ。

「大好き、ジョゼフ。ずっと一緒に、居てね」

ジョゼフは落ち着きのある優しい声で、「勿論」と答えた。

「何があっても、離さない。たとえその命が燃え尽きようとも…ね」

「ふふ。どっかのポエマーみたい」

「ポエムならいくらでも聞かせてあげるよ。まぁ、今のは本心だけどね」

「ふふ」

そのまま私とジョゼフは、幸せな心地で眠った。

お互いに愛し合ったこの時を、絶対に忘れたくない。
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