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曇った空の恋の話【第5人格】

第21章 ジョゼフ編 (新)


私はジョゼフの甘えるような声に、ダメという事が出来なかった。

「……ぃぃょ」

聞こえるか聞こえないかほどの小さな声で言う。

「…ほんと?」

ジョゼフがありえない、といった様子でこちらを見てくる。

「あー、でも、二つ条件がある」

「夏葉と一緒に居られるなら、何でも聞く!!」

やはり、女性サバイバーに嫌がらせを受けるのは嫌だ。

「女の子たちの攻撃から守って?」

「ん?夏葉に危害を加える奴は無条件で死より辛い目に会わせるよ?」

「頼もしいな。二つ目は、ちゃんと愛して、ってこと。やっぱり、飽きられて捨てられるのは、やだ」

「……っ!勿論!!僕が夏葉を捨てるわけない!夏葉が死んでも愛するよ!」

確か、ハンターは既に死んでいるから「死」という概念が無かったはず。

「……永遠の愛、か。憧れるな」

「なに一人で思いをはせてんの。…僕が、あげる」

「?何を」

「だから、永遠の愛ってやつ。…夏葉は、僕が初めて好きになった女性だ。ほんとは今だって、心臓が破裂しそうなほど脈打って、この気持ちをどこにやれば良いのか分からないほどなんだよ」

その言葉がにわかに信じがたくて、そっとジョゼフの胸元に手を当てる。

確かに、心臓の鼓動がハッキリと感じ取れた。

おかしいな、ジョゼフは死んでいる筈なのに。

「死んでいたって、ただ体を改造されただけみたいなものだよ。臓器くらいはあるさ」

「え、そうなの?」

「…心臓が無いのは、君たちサバイバーの方なんだよ。君たちの胸にあるその心臓は、偽物だ。ゲームのため、臓器が無くなっても生きていけるようにするために作られた……生命維持装置」

衝撃的な事実を知ってしまった感じがする。まじか。

「私って、臓器無いの?」

「…たぶん。あったら、ここまで腰が細いことはまずあまりないだろうね」

マジか。もう寝よう。

「…ジョゼフ、一緒に寝よう」

「ん、いいよ」
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