第21章 ジョゼフ編 (新)
次の日。
「うわぁぁ寝坊じゃん!!ジョゼフ、なんで起こしてくれなかったの!?」
「中学生じゃあるまいし……今日はバレンタインデーだから休みだよ?」
「尚更なんで起こしてくれないの!?というか、昨日あのまま寝ちゃってたから作るの忘れてたよ!?」
「……この荘園ルールでは、チョコは、好きな人に送るんでしょ?」
「そうだけど…」
「僕以外の誰かに渡すの?」
口元は笑っているのに、目が笑っていない。
「渡すわけないでしょ。でも、エミリーとかには普段からお世話になってるからこの機会に渡したいんだ。あと、いつもお花くれるエマと、梟触らせてくれるイライさん、お手紙くれるビクター君に……」
「もう好きな人とか関係無しに感謝してる人全員に渡すつもりじゃん」
「そーだよ!!」
もちろん、ジョゼフにも渡すけど……。
「はぁ。ここのキッチン使っていいから、早く作りなよ。こっちの方が大きいから、一度に沢山作れるでしょ」
「ありがとう!!あれ、ジョゼフは作らないの?」
「僕は昨日作ったよ」
「さすが。仕事が早いね。……んで、チョコってどうやってつくるの?」
「…はぁぁぁ………」
呆れてため息しか出ないといった様子のジョゼフ。
「まずチョコ細かく刻んで溶かす。刻まなくてもいいんだけど、刻んだ方が溶けるのが早いんだ。」
ジョゼフに言われた通り、チョコを微塵切りにして鍋に突っ込む。
「溶けたら次は、型に入れてそのまま固めるのが一番手っ取り早い」
「型?」
「これ」
ジョゼフの持つ箱の様な物の中身は、ハートやら星やら動物やらをモチーフにされた形の窪みがある物だった。(語彙力)
「これが型かー。この窪みの中にチョコを入れるの?」
「そそ。はい、使って良いよ。置いておくから」
上着を羽織り、部屋のドアを開けるジョゼフ。
「どこいくの?」
「ん?ちょっとバーメイドのところまで行ってくるだけ」
「……?浮気?」
「違うよ!!お酒を貰いに行くだけ」
ジョゼフってお酒飲むんだ?意外だな。
「いってらっしゃい」