第16章 ナワーブと一緒END
「出来たぞ。食え。」
焼き魚も味噌汁も、とても美味しそうだ。
けれど、私はなぜかここでナワーブを困らせてみようと思い付いた。実際にしてほしい事を伝えてみるか。
「……」
「も、もしかして魚とか味噌汁嫌いだった?ごめん…。」
「いや…好きだけどさ…。ナワーブは、もう口移しはしてくれないの?」
ナワーブが、え?と言ってそのまま私を見つめる。そして、降参しなくてはいけなくなるようなど真ん中に攻撃をしてきた。
「…はぁ。俺を困らせてどんな反応をするか見てやろうって思ってるんだろ?バレバレだよ。」
うそ、エスパー?
ナワーブはそのまま私の目の前に座り、いただきます。と言った。私としては、ここから素直にひけるわけがなかった。だって、口移ししてほしいもん!
「ねぇ、結局ナワーブは口移しはしてくれないの?」
ナワーブが、まだ言うのかといった表情でこちらを見てくる。が、すぐに目をそらす。何でだろう?
「しゃーねーなぁ…してやるよ…」
「ほんと!?やった!嬉しい!」
ナワーブは一度ため息をついてから私の隣に椅子を移動させてきた。
そして、私のところから魚を一口分取ると、少し噛んで私にキスをしてきた。まぁ、正確には口移しだが。
「…ぷは…美味いか?」
「うん!焼き具合とか、抜群だよ!もう一口~」
ナワーブはまたさっきのように適量の魚を口に含み、私に移した。
「さ、さすがにこれで満足だろ?」
「えぇ~。まぁ、ありがとう!」
そのあとは、ただ二人で黙ってご飯を食べていた。会話なんて無くても、一緒にいるだけで幸せな気持ちになれた。
「ナワーブ、好きだよ。」
「な、なんだよ急に…。俺は、夏葉のこと愛してるけど?」
な、ナワーブの方が一枚上手だった…!
「ははは。…夏葉は、俺のことどう思ってる?好き止まりなの?それとも愛してる?」
「愛してるけど?」
「何で半ばヤケクソっぽいんだよ。まぁ、それ聞いて何となく安心したけど。」
やばい、心臓のドキドキが、おさまらない……っ!
ナワーブの方をチラリと見やると、笑ってキスをして来た。
「…っ!?」
「はは。夏葉、可愛いな。愛してるよ。」
あぁぁ、神様。どうか、この日常がずっと続きますように…っ!
ナワーブと一緒END完結っ!